【追記有】「同性愛は異常」発言の何が問題なのか

神奈川県海老名市議会の鶴指眞澄[つるさしますみ]議員が,同性愛者に対する差別的な発言をTwitter上で行ったとして問題になっており,報道でも取り上げられています:

市議がツイッターに「同性愛は異常」 神奈川
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151129/k10010323221000.html

以下,先ずは当該元発言の内容を確認しておきます(出典:http://togetter.com/li/906266):

https://twitter.com/turusashi_masum/status/670633230559789056
つるさしますみ @turusashi_masum
2015-11-29 00:59:56
@asahi_tokyo 異常人間をほめるような記事を掲載したりすることが多いが、マスコミの責任感のない記事掲載が問題だ、異常人間が多くなれば人類の破滅、まじめな人間をほめる方法を考えろ、同性愛は異常なのだ、異常なことをすることを取上げる必要はない、責任を持った報道をすべきだ

https://twitter.com/turusashi_masum/status/670635069913042944
つるさしますみ @turusashi_masum
2015-11-29 01:07:15
@nhk_seikatsu 異常人間の行動を正当化した報道はするな、マスコミは、異常な行動をする人物を勇敢のように扱う、あなた方は、同性愛はいいことだと思うのか、異常人間を脚光を浴びせることの影響を考えて報道しろ、まじめな人間こそが素晴らしいいのだ、倫理観を持った報道をすべきだ

https://twitter.com/turusashi_masum/status/670638601424740352
つるさしますみ @turusashi_masum
2015-11-29 01:21:17
最近のマスコミの報道は倫理観に欠けている、何でも珍しいいことがあれば良いネタのようにして報道する、報道したことでその人物はなおさら優越感が出るのだ、一例が同性愛とやらだ!生物の根底を変える異常動物だということをしっかり考えろ!マスコミで取上げる影響を考えろ!まじめ人間が馬鹿を見る

https://twitter.com/turusashi_masum/status/670787096647475202
つるさしますみ @turusashi_masum
2015-11-29 11:11:21
前回掲載しました、ツイッターで同性愛に関するマスコミの取上げに関し、不適切な表現であったことを深くお詫び申し上げます。関係される皆様方にご迷惑をおかけしまたこと、たいへん申し訳けございませんでした。関係記事は削除いたします。

なお,既に削除されたツイートを引用する事の是非に関しては,「新聞に載った記事の内容に問題があるとして当該記事を縮刷版には掲載しない事としたものの,元の新聞紙面から引用する事は有り得る」といった状況と同様であろう,と当サイトでは考えています.
また,表明して削除したものの,当該内容について必ずしも「撤回」はされていない事にも注意します.

(上記NHK報道記事より)
鶴指議員はNHKの取材に対し、「同性愛の人たちを取り上げるマスコミの報道を批判したのだが、表現に行き過ぎた点はあったと思う。同性愛は個人の自由だと思うが、私としては受け入れられるものではなく、書き込みの撤回はしない」と話しています。

上記引用の鶴指議員発言論旨をまとめると,おおよそ以下のようになっています:
・同性愛者は異常動物(生物学的に異常)である
・同性愛は正しくない事であり,それをほめたり脚光を浴びせたりする報道は倫理観を欠く
・異常人間(一例として同性愛者)をほめてその増加につながれば,人類の破滅を招く

人権問題とか院外責任といった憲法レベルからの論議は長くなるのでひとまず割愛しますが,「社会的にどうラインを引くべきか」という点については,直近の公的調査結果報道も参考になるかと思われます:

同性婚「賛成」過半数も抵抗感 初の意識調査
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151128/k10010322671000.html

同性愛や性同一性障害などLGBTの人たちをどう思うかを調べた初めての意識調査の結果が28日発表され、同性どうしの結婚に「賛成する」と答えた人が全体の過半数に上る一方、友人が同性愛者だったら「抵抗がある」と答えた人が半数を超え、社会的にはLGBTの存在を認めつつも、身近な存在としては抵抗感を感じているという実態が浮き彫りになりました。
この調査は国立社会保障・人口問題研究所などの研究グループがことし3月に行ったもので、すべての都道府県の、20歳から79歳の男女1259人から回答を得ました。(後略)

さて,それでは比較対象として,日本における現状実態を確認してみましょう.

周知の通り,今年4月の電通ダイバーシティ・ラボによる調査によれば,LGBT当事者は人口比で7.6%(調査母集団人口約7万人)存在する事が分かっています.
鶴指議員が「同性愛者」と呼んだ範囲がLGBTのどの部分を指しているかは必ずしも明確でないのですが(おそらくごく素朴にそう言っただけだと思いますが),「生殖に際する生物学的奇形性」という点で言えば,同性愛者以外でもLGBT(ないしLGBTQ)の範疇に「該当する人」は多い訳ですから,元来の同議員論旨からすると,おおむね「その7.6%の人達は異常動物である」と直接的に換言しても,ほぼ同義と考えられます.

統計的に,”ほっといても”7.6%の人が「異常」に該当するという事は,生物学的にどうなのか?という議論を,先に少なくとも下敷きとして用意しておくべきだったと思われますが,そこまでまともに考えるなら,必然的に,人口動態や婚姻と有生殖率の関係や一人親の問題といった論点も「地続き」で関連してくるはずでしょう.
更に,議論の方向性次第では,かつての柳澤伯夫大臣(当時)の「産む装置」発言に匹敵する程の重大発言とさえなり得る展望も見えます.

ちなみに,かくいう私(当サイト運営者Blizzam)自身は,「産めない装置」たる生物学的欠陥品であり,一市民というよりなお個人固有のポジションをも含めて,当該発言の論旨は非常に気になっております.NHK取材に対し「同性愛は私としては受け入れられるものではない」と明確に発言されている以上,御本人の本件論題に関するお考えについて,より深く公論に供して頂きたいと望みます.

<※2015.12.02追記>
鶴指眞澄議員が「おわび文書」を出したとの報道がありました:

「同性愛は異常」と書き込んだ市議 おわび文書出す
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151202/k10010327421000.html

この文書が何処に提出されたのかは報道に明記がありませんが(御自身の公式サイトhttp://turusashi.com/からは関連情報を確認出来ません),

「知識不足や認識不足があり、軽はずみで掲載してしまいました。同性愛で悩んでいる人が多くいることなどを聞いて、自分の軽率な言動に対してざんげの念を抱きました。深く反省し、市議会の信用を失墜したことや関係される方々に対し、多大なご迷惑をおかけしました」としています。
さらに、海老名市議会の基地対策特別委員長を辞職するとともに、12月議会を謹慎とし、今後はツイッターへの書き込みは行わないなどとしています。
(上記NHK報道より)

との事で,委員長辞職はともかく,議員活動に際しても相応のインパクトがあった事には違いない模様です.

個人的には本文(当初投稿)の通り,それだけの明確な御意見をお持ちの方なのですから,世論物議に供する程度の発言まで盛り立てていって頂いても良かったのではないか・今回反省はされるとしても,これから先も意見表明は続けていく事こそ社会に資するのではないか,と思うところでもあり,単なる「尖った言動を避けてマルく活動していく自粛」といった結果ににとどまってしまわないよう願いたいものであります.

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One thought on “【追記有】「同性愛は異常」発言の何が問題なのか”

  1. 謀議委員も酔った勢いで投稿したそうですから酔った勢いでコメントいたしますが、公人として今回の発言が問題視されているようですが、(本人同士の)子孫が残せない婚姻関係というものが異常というのは同意です。気持ちが悪いというのも同意です(古来からの感覚でしょう)。これが美しいとかいうほうがおかしいのです。

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