単純に「社会的マイノリティ」にはやはり理解者の存在が必要なのではないか

過日「受験生のメンタル」についての記事を公開して,あらためて検索キーワードから眺めてみていたところ,「宅浪が精神的にきつい」という記事が上位に挙がっていて,あぁなるほどな,と感じるとともに,以前に統計情報を取り扱っていた立場からすれば「そりゃそうだろうなぁ」とも思うところあり,アップデート調査をしてみる事にしました.

基礎とする統計データは,例によって文部科学省「学校基本調査」です:
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
平成29年度(速報)結果が出ているので,便利そうなのでひとまずこちらを参照する事にしましょう.

 

先ず,平成29年3月の高等学校の卒業者数は1,069,754人
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001093035&cycode=0
表番号47「高等学校の都道府県別状況別卒業者数
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000031606416 ).

この中で,大学・短期大学(本科)への進学希望者数は727,201人
(表番号51「高等学校卒業者の大学・短期大学への入学志願者数
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000031606420 ),
更に内訳は,現役生が655,863人,浪人生(過年度卒業者:より正確には「再受験生」等をも含む可能性があります)が71,338人(うち短大志望1,065人).

一方,同年度の大学等進学者数は585,339人ですから(上述表番号47「状況別卒業者数」),ごく大ざっぱに言って「今年107万人が高校を卒業,うち65万人が大学・短大進学志望,58万人が実際に進学」という事になります.
∴過年度生の動向をも踏まえれば,「差分の約7万人が浪人に回った」と捉えてもおおよそ間違いではないでしょう.

ここで,外部サイト「合格サプリ」のような試算をすれば,「浪人生の割合は1割を超えている」(7万人÷65万人)などという主張も出来るのかもしれませんが
(参考:
浪人生の数って減っているの?統計から見た浪人について
https://goukaku-suppli.com/archives/11687 ),
そもそもの母集団は「高卒者107万人中の65万人」であって,
更にその「母集団」の概数としての「3年前時点での中学校卒業者数」は1,192,990人です
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001015843&cycode=0
表番号13「卒業者数
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000031607502
:「平成26年」参照).

 

要するに,「大学進学を志望していながら高卒後浪人に回る」ルートは,同年代の中で言えば「120万人中7万人」なのであって,これは同年代の「高卒以外」約12万人の6割にも満たない数字です.

人口比としては6%を下回り,この数値は例えば所得分布と照らし合わせてみると,おおよそ「1300万円以上」に相当する割合です.ちなみにこれは「100万円未満」よりも少ない
(参考:
厚生労働省「平成 28 年 国民生活基礎調査の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/16.pdf
p.11参照).

あるいは,キーワード「7万人」で検索してみると,なお色々な規模の世界との比較が見えて,思うところあるかもしれません.

 

当記事タイトルは書くだけ書いて敢えて放っておきますが,筆者の「イイタイコト」は察せられるのではないかと存じます.

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