「小論文対策」はいきなりやろうとするな

【追記】学習方法の具体論は,後の拙記事 http://wp.me/p6S43T-dM を御参照下さい.【/追記】

 

予備校の時間割が決まって各講座が始まり,私もその内訳を見る機会が増えてきたタイミングが少し前にありました.
ところが,その中で,(知っていた事ではあったのですが)「小論文対策講座」と銘打たれた「時間割」科目が存在して,首を傾げるに至った次第です.

そもそも,大学受験勉強の方法論の原則から言えば,「小論文対策」のみ,という学習方法は存在しない.あくまでも,国語(現代文)の学習の基礎の上に,論述形式を修得した上で「より長めの文章」を書いていく,という手順以外の何物でもありません.
ですから,大学入試の小論文受験者は先ず「集中2週間完成 現代文(初級/中級)」で初学時点での現代文の基礎学力を測る必要がありますし,おそらくはその先に「出口のシステム現代文 ベーシック編」を“完璧に”こなす必要もあるでしょう.そしてそれに並行する形で,「読むだけ小論文 基礎編/実践編」を繰り返し読んで,概念知識の補充に努める需要も生じてくると思われます.「現代文読解力の開発講座」で「100字要約」に取り組めるのは,これらの対策学習が一通り完成した後の事になります(※ここまで,あくまでも未だ「現代文」の範疇の受験勉強である事に注意しておきます).

そして,これらを網羅的にやる為には(たとえ「完璧」を目指さないにしても),相応の時間も当然必要となります.最初から「小論文対応」などと謳っている講座にかまけている余裕は無いはずです.小論文対策講座が上述のような「基本訓練」を徹底してくれれば一向に問題は無いのですが,いくら入試本番で小論文が課されるからといって,初学者が「小論文入門ー10日で小論文の基礎完成」や「医学・医療概説」といった小論文専門の教材を使いこなすのは,日本語の読解力という観点だけでもまずもって無理があります.

これらは,国公立大学後期入試などで見られる「学科試験無し,小論文(+面接)のみ」といった形式ばかりでなく,特に私立医学部医学科の2次試験の多くで課されている「小論文」についても強調して言える事です.

また,以上の内容は,例えば大手予備校の「東大クラス」の国語(現代文)講座等についてもおおよそ同様です.「本番レベルの問題を教材として扱っていく」とか言えば聞こえは良いのかもしれませんが,現実には目標地点と現在の実力とのギャップに苦しみ,成果を発揮出来ない受講生が少なくないはずです.商売ももう少し上手く考えて行って欲しいものだと,心より思います.

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