「子供に観せたいYoutube動画」を作る事は可能か

山本一郎さんの記事「子どもが観るYoutubeなどでの不適切ウェブ動画、どうにかならないものだろうか」を読んで,拙ビデオ教材「高等学校数学語」の続きが作りたくてやまないブリザムです.

子どもが観るYoutubeなどでの不適切ウェブ動画、どうにかならないものだろうか
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20190502-00124538/

高等学校数学語
https://www.youtube.com/channel/UCo7zYs3z7SzMts0n1gCwfhw

そもそも,「高等学校数学語」は,名門進学校ですら脱落者が止まない高校数学に関して,少しでも分かりやすく伝え,そしてその事によって「高校数学が分かる・出来る」高校生(あるいは別にそれ以外の人達でも構いませんが)が少しでも増えれば,と思って作り始めた教材です.
止まっている理由はひとえに,必要となるコンテンツ数が概算で2000に届きそうなどという,膨大な物量に圧倒された筆者が,体力的にも及んでいない故に尽きます.

しかし,たとえ上述の「高校数学を分かりやすく伝える」事が叶ったとして,そもそもそれ自体に積極的に興味を見出す(筆者のような)層がどれほど居るのか.
そもそも,筆者私自身,高校進学以前(というか実際には入学後もしばらく)は数学にさしたる関心もなく,定期試験で満点を取って「御蔭で多少やらかしても誰からも文句を言われない立場を勝ち得た」などと思っていた程度です.それが,高校入試で第1志望の東京学芸大学附属高校に「数学が出来なかった」せいで落ち,また仕方なく進学した地元県立トップ高校でも,往時はまだ「数学・理系の厚木」と呼ばれていた母校で数学の成績が平均点ギリギリまで落ち込むに及んで,危機感を覚えて「数学をやらなければ」と自ら思い立った,というのが正直なところです.そして,当時(今にして思えば)最終課程版だった「寺田の鉄則」を学校推奨教材の青チャートに代わって使い,そこから「大学への数学 1対1対応の演習」等に接続して,結果数学の成績が上がり過ぎてしまった(駿台全国模試=現ハイレベル模試で偏差値75突破,今は亡き研数学館東大模試で数学全国2位=開成のトップを破る)ゆえ,東京大学進学に至らざるを得なくなった,という経緯だったりします.そして学者ルートから零れて現在に至る.

この過程の中で,果たして「自ら数学に向かう動機付け」というものは,果たして本当は一体どこにその源泉が有ったのか,また果たしてそれを自身以外に普遍化する事は可能か,と問うてみると,いずれも激しく疑問に思われるばかりです.

そして,冒頭の通り,「高等学校数学語」などという大仰な名前のコンテンツを端っこだけ作って未だに置いてある次第なのですが,「そもそもそんなものを作ったとて一体大多数の子供(若年者・初学者)にリーチする見込みはあるのか」と問われれば,正直「申し訳ございません」となりかねません.

村山斉先生のような「オタク学者」が各分野とも前面に出て語ってくれればもっと効果は上がるのかもしれませんが,それにしても文科省学習指導要領的網羅性を発揮する事は難しいでしょう.あるいは,私が常日頃言っている「体系性・網羅性」などというものがそもそもどれほど必要なのか,という点から議論を始めるべきなのかもしれませんが,少なくとも高校数学教育における経験の限りでは,両者は必要な事だと感じています.我ながら議論がまとまりません.

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