理科特に物理が相変わらず虐げられている件について

過日,必要があって化学(化学基礎・化学)の範囲を復習しておったのですが,さすがに(既知の通り)筆者の受験当時より範囲が広くなっていますね.かつ,生命科学との合流点が見出しやすくなっています.
他方で,物理学との接点については,決して多く語られていない模様です.これが大学に入ると,「化学は物理に,物理は数学になる」との格言の通り,物理化学は非常に重要な位置付けを占める事となります.それを,生命科学との接点を重視したせいかどうかは知りませんが,物理化学との接点を軽視したままでいいのかどうか.

以前に当サイトでも述べていた通り,高校「物理」の履修者はせいぜい2割という有様ですが,これが「3割の理系大学受験生」の多数派を占めるとなると,看過しかねるものがあります.そこを,「物理学との接点は大学に入ってから勉強してね」と一任せで本当に大丈夫なのかどうか.筆者はつねづね,「総合」的科目の位置付けを批判してきましたが,ここへきて「理科総合はやっぱり必要なんだ,それも高校理科最後の段階で」と思わざるを得なくなった有様です.

大学受験指導者(予備校講師)による大学初年級のための参考書も人気健在ですが,民間教育に頼りきっている現状には少なからず不安を覚えます.無論,「意欲的な」大学入学生は筆者などの杞憂に沿わずして自習を充分に補うのでしょうが,それはあくまで少数派です.「大学に入ってから文転しました」などという顛末にならないよう,心から願っております.

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