新高3生に無料相談を頂きましたが,志望校が特に決まっていないとの事で

以下の通り,無料相談のメールを頂きました.学校名が割れそうな項目は当方で伏せて掲載します:

>無料相談希望です。4月から(学校名略)の高3です。高2から理系クラスで選択科目は物理、化学、共テ倫政です。英語は英文解釈と英作文が今学校の授業であって、プリントで入試問題を予習して行って授業で解説がされます。数学はニューアクションαと4STEPを中3から配られてずっとやっています。国語も入試問題プリントで授業は今年度までで終わります。理科は教科書とセミナーで、セミナーは自習用で解答もあります。倫政は教科書が一応配られて授業はプリント中心です。内容は講義パートと設問があって、多分センターの過去問が入っていると思います。志望校は決まってません。出来れば家から通える国公立希望です。高2から文理分けで理系の方が文転もできるのでと言われて別に苦手ではなかったので理系にしました。成績は高校課程に入ってから(順位略)くらいです。共テ同日模試は英R65、英L58、数1A67、数2B55、国語117です。英文解釈と数学は高3前期中間までで授業が終わりで、それ以外も前期末までには終わる予定です。予備校は東進を考えています。

ペンネームを書いて頂けてなかったので,後ほど記事をアップした後にその旨御返信します.

なるほど,志望校は高2末時点で決めておくものではないらしい(そういうもんなんですか…).あと,メール文面は別にマス目文字数制限の有る解答欄などではないので,適宜改行とか調整して頂いて結構なんですよ.…もしくは,スマホ画面から送受信とか閲覧するのに慣れていると,こんな感じなのでしょうか?直近の教え子は基本1~2行連絡or教科・科目毎改行で得点数値表示だけとかなので,そのあたりの現代若年層的感性はよく分からないのですが(さりとて,別段当サイトは大学受験生にビジネスメール的フォーマットを要求する必要も無いと考えておる由ですが).

 

さて,志望校が特段定まっていないとの事で,お伝え頂いた成績概況から「どのくらいいけそうか」という形で例示してみたいと思います.

先ず,上では順位人数表示を伏せていますが,在籍校の学年定員からすると学年真ん中よりは上をキープしている模様なので,理系でそれ相応の大学(御希望通り出来れば国公立)を考えてみます.また,共テ同日成績スコアから考える限り,高校の定期試験でもおそらくメールに記載された使用教材(~更には直近なら入試問題も)の水準が出題されているのではないかと見られます.
高校サイトの進路実績欄では大学合格者数までしか表示されていないので,先ずは是非「学部・学科別」の情報も調べてみて下さい:担任の先生か,進路指導部(あれば)の担当の先生に訊いてみれば教えてもらえるはずです.合格実績では国公立大学もそれなりに出ているので(但し合格者数を足し上げて学年の3割強くらいでしょうか),狙おうと思えば存分狙えると思われますが,国公立大学で合格者数≒進学者数と考えても私立のダブル合格が大分国公立合格者層で稼がれているのではないかと見えますので,経済的に可能ならある程度以上のレベルの私大も併願校として考えていく方が無難だと思います.
また,文理選択自体についても,同程度の成績で理系クラス在籍から国公立文系に受かって進学した例なども存じていますので,大学で学修したい事の方向性が定まったら選択肢は未だ広く取っておく算段も有り得るかと存じます(但し,その場合には理科の学習にかける力量配分を下げる事と,社会をどうするか―実際には高校で既に習った地歴科目の中からもう1つを選ぶ事になると思います―という事になるでしょう).

理系で国公立メインでいく場合には,(「家から通える」の範囲にもよりますが)先ずおおよそ都内近隣で大学を選ぶ事になるでしょう.学部は工学系なら選択肢多数(併願私大も理工系単科大学が視野に入る),理学系でも学科単位で数学・情報・物理・化学あたりまでの志望なら選択肢は比較的広く取れます.一方,生命科学系を考える場合には,学部名義上「農学部」等も含めて幾分限られた範囲から選ぶ事となるでしょう.また,意外に「工学部化学系学科」の中にもバイオに近い事がやれる所もあるので,やはり先ず大学で学びたい事の方向性を見据えた上で,各大学研究を詳しく見ていく必要がある事と存じます.

入試の偏差値的レベルについては,在籍高校のレベルと順位,あるいは共テ1年前のスコアを見ても,特に狙えないラインは無さそうです(当然かもしれませんが医学部医学科は除く).あとは「どこまでやってどこへ行きたいか」に尽きるでしょう.
現在高校生の年代層に対しては,昨今の大学オンライン化等社会情勢も伴って,もはや「偏差値的大学ランクで社会階級の上位を狙う」という事を,必ずしも一面的に推奨出来るものではないと考えます.それゆえ,今回御相談の例でもそれこそ狙おうと思えば東大理系現役等も不可能では無いのですが,「合格実績のために煽る」ような事をしても仕方無いので,結局は「御自分が何をやりたいか」に尽きると思います.

 

以下では幾分厳しい事を申しますが:これまでの進路選択では少なからず「流されるままに決めてきた」傾向が見受けられます.ですが,これをそのまま大学受験校選定にまで適用してしまうと,最悪本命国公立で不合格だった場合に,傾向対策が不十分だと併願私大も本来学力に比して中途半端なレベルまでしか合格出来なかったり,あるいは本来の「やりたい事」ベースでの選択肢からすると,かなり限られてしまう恐れがあります.
現状の学力成績にはさほど問題は見られないので(特に,当サイトでさんざんけなしてきたニューアクションα(そろそろ理由も別途記事で詳述しないといけないと思っていますが…)を教材としてついて来れていると見えますので,多分4STEPなども自習でかなりやり込んでいるのではないかと思われます.高3次序盤にも適正なタイミングで学力測定の為に模試や過去問演習(高校の先生に採点してもらう目論見です)等の機会を取り,その結果を踏まえて志望分野とすり合わせて受験する大学リストを絞り込んでいくのが宜しいのではないかと存じます.

在籍高校の進学実績からは,今一つ「売り」の方向性が見えてこないので,志望進路の方向性は自分の意志をきっちり持って決めるしかなく,ある意味でキツい局面に遠からず直面する事になるかもしれませんが,俗に言われる「行き先指定の無いタクシー運転手はどこへも進めない」といった格言等を心において,なるべく早い段階で進路志望を定めていく事が,繰り返しになりますが何よりも肝要かと思います(※なお,決めた志望進路はあまり多くの人に言わない事を推奨します;理屈説明の詳細は略しますが,人に言ってしまうと「義務感」が増えて重荷になるリスクがある為です).無論,保護者の方の同意は「パトロン」という立場上取り付けておく必要はありますが,高校の先生のアドバイスに関しては,失礼ながら「注意深く」どこまで聞き入れるかを判断して頂ければと願います.

そして最後に,予備校(東進予定との事ですが)の使い方ですが,これもやはり「志望方向性ありき」の選択判断という事になります.殊に,受験産業は合格実績を喧伝したいが為に,より上位の難関コースを受講させたがりがちです.当方も上では「東大も狙える」などと触れておりましたが,あくまでも予備校においても「無茶をしない履修」を原則として下さい.

 

以上,希望進路についての詳細情報が無かったので今一つ雲を掴むような回答となってしまいましたが,もし希望学科等の方向性が定まりましたら,宜しければあらためて御連絡を頂ければ対応致します.

 

当方連絡先 → nlimeblizzam【at】hotmail.com
必要情報の項目・無償/有償の御相談で出来る範囲に関しては,最近の過去記事を御参照下さい.

Share