共通テスト重視型大学入試は不利か?

私立大学一般入試の大方が一段落して(未だ有る所は有りますが),あと1週間もすると「本命(※)」の国公立大学2次試験前期日程が始まります(※筆者の出身校程度ですら学年の「4割」が国公立大学を第1志望としていました;地方公立トップ校の中には「学年240人中200人が国公立大学進学,内地元国立は50人程度」といった例もあります).
そこで,今の時点で指導者なりに,共通テスト「初回」の印象的感想を述べておきたいと思います.

 

既に実際受験された(そして自己採点をして各大学に出願した)方々は重々御承知の事かと存じますが,共通テスト重視型の入試は「運ゲー」で高得点を取ってしまった人が合格する可能性が高まる,という構造になっています.
これは「新制度初年度」という特殊事情のせいもありますが,そもそもの根本原因としては,目標平均点を旧センター試験より低くしている(6割→5割)共通テストにおいて,こと「努力が報われる」程度に関して,より厳しい「高得点帯への限界」があると考えられる次第でもあります.

そうすると,当然の事ながら,その中で「コンスタントに得点を取っていく」事も,共通テストではより難しくなってきます.
この傾向については,いずれは「攻略」されていくのかもしれませんが,大学入学共通テストにおいては,今のところ旧センター試験のように「過去問の再活用」に言及されている話はありません.
こうした構造的事情を考えていくと,むしろ共通テストにおいては,今後とも「攻略を避ける」作問出題がなされる可能性すら,考えに入れておいてもよい程度なのではないかと懸念されます;何しろ,共通テストが「測ろうとしている能力」自体が,根源的にそういう方向性を一面に持っているからです.

 

そんな訳で,「共通テストで勝負」はあくまでもその「運ゲー」に勝った人の言に限られるという事で,国公立大学志望の皆様におかれましては,結局のところ「2次で勝負」という話にならざるを得ないのではないかと察します.

此の期に及んでそんな事を言われても,殊に共通テストの配点が高い大学に出願している受験生などは「今更どうしようもないがな」と思われるかもしれませんが,ひとまずは目先の2次(個別学力試験)へ向けて,持てる限りの実力を発揮して頂ければと願います.

2次試験は共通テストとは異なり,出題者(≒採点者=大学教員)との「対話」がまだしも通じる向きがあります(各「選抜する立場の大学」が直に出題しているため).従いまして,使い古された言い方ではありますが(そして当サイトでも繰り返し述べていますが),「答案は採点者へのラブレター」,或いは,ラブレターがこっ恥ずかしいなり古臭いと思われる方におかれましては,さしずめ「自己プレゼンテーション」だと思って,持てる力を遺憾なく発揮して頂ければ,とあらためて願う次第であります.

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