青チャート/ニューアクションαを使って大学受験でどこまでいけるか

なんかずっとコンスタントにニューアクションα関係の記事へアクセスが有るなぁ(しかも今月に入ってから漸増傾向だなぁ)…と思っていたら,拙サイト記事(初回の「ニューアクションα」をボロク●に叩いていたやつ)が「ニューアクションα レベル」のGoogle検索で3位まで上昇していたのですね…1位は東京書籍の公式サイトですし(焦);

一応,フォロー記事も公開してはおるのですが,今一つ「現実問題として,ニューアクションαをメイン教材に据えざるを得ない」高校生の方々には,大学入試対策としてどうすればいいのか,という切り口には未だ応えていませんでした.そこで,当記事で再度のフォローアップを試みてみたいと存じます.

 

先ず,客観的な評価として,ニューアクションα(or青チャート)はそもそも難易度の敷居が高い,という話は既出の記事で述べている通りです(※読んだ覚えの無い方はサイト内検索などして読んで下さいね? アクセスログを見ていると「叩いている記事だけ見て帰っている」人が相当数居るようですが,サイト内検索やリンク先参照を怠る人に対してまで責任は持てませんからね??).そして,いずれの教材にしても「フォローアップが必要:使用教材は4STEP等の教科書傍用問題集(※学校専用別冊解答付きに限る!)」という点も同じです.

…で,結局のところ,4STEPの物量を必死こいてこなした挙句,その上更にニューアクションα/青チャートの高難度問題まで定期試験範囲に指定されているからやらざるを得なかったりする訳ですが,率直に申しまして,ここは踏ん張るしか無い.

ちなみにかく言う筆者は,学校配布教材を無視して今は無き「寺田の鉄則」(実際は青チャートと同レベルでした)からいきなり演習を始めた訳ですが(くれぐれもマネしないように!),同期の数学トップ層は概ね青チャート(往時は学校「推奨」教材でした)と学校配布の傍用問題集「サクシード」をこなしていました.夏休みの課題は「ニューグローバル」で,高校3年次の課題は「スタン・オリジ数学演習」だったはずですが,これらもテキトーにすっ飛ばして「1対1対応の演習」へ接続していたりしました.
今考えると非常に強引で,大学受験指導者としては絶対にオススメしないコースですが,それでも数学は学年最高7位,校外では駿台全国模試(現ハイレベル模試)で偏差値75超,今は無き研数学館の東大模試では数学全国2位で開成トップを上回っていたりしました.これだけ聞くと「素質だったのでは」と思われるかもしれませんが,しかし往時の母校には少なくとも6人以上「格上」が居た訳です.なお同期の東大合格者数は8人です(文系含む).

対して,4STEP+青チャートを学校配布常時使用で強いられていた教え子は,一浪の挙句某難関私大医学部医学科に合格を果たしています.このエピソードからすると,青チャートなりニューアクションαメインコースも悪くないのかもしれませんが,物量的には現役生だとかなり厳しいのではないかと思われます(筆者は前述の通り,学校のカリキュラムは無視していたので…).

 

物量に続いては難易度の話に移ります.

先ず既述の通り,青チャートやニューアクションαは難易度としては高め(フツーの進学校高校生には難関大学狙いでもあまりオススメしない程度)です.他方で,逆に「では,もしこなす事が出来たらどこまでいけるのか」は気になるところでしょう.

現実的な問題として,これも既述したかと思いますが,これらの教材を「1対1対応の演習」へ接続しようと思うと,微妙にレベルがかぶります.さてそれでは,「1対1対応の演習」のような大学入試対応典型教材を使わずに,青チャート/ニューアクションαのみで東大など難関大学入試に合格出来るのでしょうか?(和田秀樹先輩の「青チャートで東大理三も受かる」はどこまで信用に値するのでしょうか??)

私感を率直に述べれば:青チャート/ニューアクションαは,「パターン学習としての設問の規模」が小さい点と「分野横断型の出題」への対策が弱いところが気に掛かります.その意味では,確かに「スタン・オリジ数学演習」や「数学問題集」(数研出版)のような教材を追加する,というのは一つの策かもしれません.
…但し,これらの教材をマトモにこなそうとすると,言わずもがな,かなりの学習量を必要とする事になります.

加えて問題になるのが,東京大学・京都大学や信州大学医学部のように高難度な出題がなされる大学と,多くの国公立や私立医学部医学科のように「網羅性とスピードと正確性」を問われる出題対策とでは,「受験眼前」までに必要となる学習方針が異なってくる,という点です.名古屋市立大学医学部医学科に再受験で合格した上雲晴さんは,直前期に「青チャートをランダムに解く」方針で対応していたとの事ですが,果たしてこの物量戦略がどこまで採れるか,と.
無論,医学部医学科志望の受験生はこの程度の「物量」学習が出来なくては話になりませんが,さても「今やっている勉強方法で本当に合格出来るのか…」といった思いは,受験生特に難関大学志望者にとっては,度々直面する主観的課題の典型と言っても過言ではないでしょう.逆に言えば,この「主観的問題」をクリア出来たなら,合格への途は拓ける,と考える事も可能です.

 

結論として,青チャート/ニューアクションαのレベルを必要とする大学入試に臨む人にとっては,当該教材に食らいついていく学習方針も採りうる,というくらいの話になります.東大入試なら「鉄緑会の教材についていけば充分じゃないか」…などと言いたいところですが,その方針だと横浜市立大学医学部あたりは逆に難易度過剰で問題になってくるかもしれない,的な温度感で.
いずれにしても,大学入試の出題においてはそれぞれ各大学学部の「特性」が現れるので,それに対応して(要するに早い段階から過去問を活用して)受験勉強を進めるしかない,というのが本音です.こんな事は先人各位がさんざん言っている話なので「今更そんな当たり前な」と思われるかもしれませんが,少なからずの受験生が「傾向対策」をマトモに行えていない,という現実があります.即ち,入試の傾向対策をマトモに行う事が出来れば,彼等「蒙昧なライバル」達をゴボウ抜きにして合格を勝ち取る事が可能になる訳です.

そんなわけで,青チャート/ニューアクションαは「マトモにこなしてついていく事が出来るなら」有用な教材ではある…のですが,如何せん敷居が高い;初動段階で「理解が成っていない」学習者が後を絶ちません.ですから,筆者の指導ではしばしば「教材を捨てさせる」という事をやむなく行っている次第です.
ニューアクションαの内容に特化した詳説講義動画でも作れば有益なのでしょうかね? 筆者はかつて,「4STEP」で同様の事を試みた時代があったのですが,あまりの物量に身体が負けて高校数学全範囲網羅を諦めました…;もしそこまで出来る猛者がいらっしゃれば,是非完遂して頂きたいと願います.
但し,そこまで「背景を含めて理解出来ている」人は数学科の学生~大学院生等に限られるでしょうし,また実際問題として「長い動画」は視聴されにくい,という(誠に残念な!)風潮傾向もあります.しかし,大学受験生各位におかれましては,斯様な時代背景などは無視して「勉学にガッツリ取り組む」という事を,どうか進めて頂きたい.なぜなら,大学入学後はどうせ「そういう学修法」を採らされるのですから.

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