LGBTとマイノリティについて復習してみる

 

“T”がLGBTから除外される?オンラインで数百の署名が集まる
http://life.letibee.com/community/drop-t-petition/

という事で,最近マーケット開拓的な意味でも話題に上ってきていた「LGBT」において,その内訳があらためて問われる,とでも評すべき事情が生じてきている様子なのですが,個人的には「今更そんな話を?」という感が強く,却って疑念というか懸念を呈さざるを得ない論題でもあります.

元々が日本語圏外から来ている(と言うか,多分英語圏由来と見えます)概念なので,日本語文献を当たろうにも限られているかもしれませんが,一応念のため,定義由来を含めて復習確認しておきますと:

Wikipedia:性的少数者
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E7%9A%84%E5%B0%91%E6%95%B0%E8%80%85
今日海外において、LGBTをMinority(少数者)と称することはほとんどなく、特に国際連合等の公文書においては全く用いられない。

この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2010年5月)

なるほど,国連人権理事会の「ウィーン宣言及び行動計画」なる大局プログラムと関係があるらしい.

Wikipedia:ジョグジャカルタ原則
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%B0%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%BF%E5%8E%9F%E5%89%87

その中でも特に,より具体的な規定のある「ジョグジャカルタ原則」においては,「性的少数者」とも「LGBT」とも直接に述べている訳ではなく,あくまでも「性的指向や性自認のいかんに拘わらず」と規定しています.但し,「前文」においてはより個別具体的にも例示言及されています(また,ジョグジャカルタ原則の成立に影響を与えた「モントリオール宣言」では,明確に「Lesbian, Gay, Bisexual and Transgender」と列挙表示しています).

端的に,「マイノリティ(少数者)と自称・他称するのは心証がよろしくないので,LGBTという形で符号化した」結果が込められている事情と察せられます.

私個人としては,つねづね「minorityがinferiorになってしまう事は望ましくない」と主張し,対案を随時述べようとしているのですが,どうも英語のminorityには既にそういう方向での否定的な意味が含められてしまっているようで,客観中立的に人権を論じる際には,呼称として好ましくなさそうだ,という訳です.

さても,「マイナー」というからには「統計的に少数派」である事実には違いないのであって,その論理的(数理的)構造を十分考慮しないままに,”例示列挙した符号”の頭文字を並べたキーワード(LGBTなりLGBTQなり)を構成したところで,いずれ個別的な問題が再燃する事は容易に想像がつく話だったのではないか…とも思うのですが,そこまでして大同団結したい動機があったという事なのでしょうか.
「少数派は大同団結するくらいしか手段が見つからない」などとあっては,「多数決制民主主義が未だ文明の発達不十分の具現化であって,サンデルの政治学のような議論から離陸出来ていない」といった流れを省みて,天を仰ぐばかりですけれども.

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