拙著魔導書「黒魔法入門『魔法使いになりたい』」の使い方について(参考)

https://www.amazon.co.jp/dp/B073W48ZHZ/
発売後早速反響を呼んで頂いている模様でして,誠にありがとうございます.(なお出版認証直後に校正すべき点を発見しまして微修正版と差し替えましたが,読者皆様のお手元に渡る時点以前に影響は解消されているはずです…)

 

さて,「使い方」といっても無論当然,書物を利活用する方法とは,原則として読み手の側に委ねられている訳でありまして,著者が「企図と異なる読まれ方をされた」などと主張する事は,原理原則からしても本質的実効性に鑑みても,殆ど意味はありません.(勿論この点は,当サイト記事のようなある程度まとまった量の文章も同じでしょう.)

とはいえ,今著は「演習方法を実際に提供する」「養成講座」と銘打っている以上,「その目的に合意した読者のために,著者の責任範疇でオススメと考える使い方」というものは有り得ます.そこで,今回はその中でも特に「初学者=本来の想定読者層近辺」を対象として,最初期にお伝えしたい事を簡単に補足申しておきたいと思います.

 

先ず,上でも述べた通り,本書は「実際の技術を提供する演習書」です.…と言う事は,一応のたてつけとして「使って[黒魔法を]上手くなってもらう」事が目標です:ですから,著者(私)が述べている此の「目標」と,読者が目標にしている事=何らかの当事者展望との間で,ある程度方向性の一致なり「合意」が出来ている事が,望ましいと言えます.
そりゃ当たり前と言えば当たり前の話で,「学校に入学を志願しようとする人は,その学校の設立理念なり実際の教育提供内容に,合意する事を確認した上で志願しているはずである」というのと全く同じです.(ちなみに余談ですが,「本意でないのに学校へ入学在籍するとどうなるか」については,今回拙著の巻末に少しだけ触れてあります.)

という訳で,著者企図「その1」としては,出来れば本書内容の「演習」を行って,黒魔法が上手くなって,黒魔導士になってほしいのです.もし独習が難しくても,「周りの大人」の誰に訊いてみればいいのか,分かるように道筋までは書中に示してあります(後者の役割の方がむしろ,本書の「特筆的な点」としては際立っているのではないか,とさえ思います…それ自体は必ずしも望ましい事とは限らないながら).

 

そして,もう一つの著者企図(その2)は,「まほうつかいになりたい」当事者以外で関心を持ってくれた読者へ向けての,なかばお願い含みです:もし周囲でそのような,あるいは類似しているかもしれない志願展望を抱いている人を見掛けた場合に,「こういう方法論もが知られているようだよ」といった形で,「提示」の役割を担ってくれたら,と思う次第です.
この場合,あくまで情報提供者は「提示」の役割であって,教育的立場としての責任配慮をもぜひ合わせてお願いしたい限りですが(本人以外の立場から「魔導士になる事をオススメする」方向性についての是非を留保する言及),それでもなお,「知りたい情報が見つからない」立場の人(=当事者)へ広く届けたい,という事は本書の念頭にもある通りですので,ぜひ「相応に心得のある世の中の大人」の皆様におかれましても,それぞれの立場から御協力頂ければ幸いでございます.

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拙著「現代科学に基づく黒魔法入門:『魔法使いになりたい』すべての人のための魔導士養成講座」(魔法科学研究所・刊)が発売されました

https://www.amazon.co.jp/dp/B073W48ZHZ/

という訳で,「数学者としての,クラークの第三法則に基づく魔導士」たる仕事を公刊提供しました(※刊行名義等の微調整は今しばらく随時反映する予定です).無論,「魔導書」の能書き通り,いずこかで「まほうつかい」の概念を知って興味を持った方をも読者対象として,不足無きよう著述しております.更に,本書前書きでも触れている「より若年者向けの丁寧な対応」に関しては,今後重ねて補遺を提供していきたいと考えています.その為にも,読者皆様からの忌憚なき御意見御要望を是非頂戴出来ましたら幸いです.

 

また今回合わせて,Twitter公式アカウント@KazmiBlizzamを開設(稼働開始)しました.基本的には,当サイトその他における筆者アクティビティの告知の他,興味関心に応じた活動のために適宜利用していく意向です.なお,当該アカウントにおける「顕名責任」について,少なくとも私自身側の立場は,苫米地英人博士が提示している「実名明記」に倣う形を採用しています.

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代議制に思う事

過日ご承知の通り東京都議選が行われまして,「あんなに面白そうな祭だったら私も予め都民権を取得しておけばよかった」と毎度の如く思う立場です.公職選挙が祭ポジションでいいのか,という論は以下で触れますが,其の「面白さ」の最たるは矢張り直接民主制ではないかと思いつつ言及します.

 

さて,その選挙戦の中でも,例えば公明党のポスターには「議員報酬2割削減」といの一番に大きく書かれてありまして,まさに「うちがやりました!」と正面から言っています.

で,実際公明党(候補者)に投票するかはともかく,此の端的な政策内容について,選挙権を持つ都民が身内に居たので訊いてみたところ,「税金減るのはいいねえ」との回答を得ました.

ここからが私の試論です.

その同じ人に,「ではあなたは,やおやさんの店頭で150円のリンゴを120円まで値切れますか?」と重ねて訊いてみたところ,「うーん…それはまず難しいと思う」との答えでした.

 

公明党の政策提言(そして可決に至らしめた都議会総体の働き)本来自体については,筆者は特段精査していないのですが,こと「やりました!」の報告ポスター文面を見る限りでは,「先ず代議士の(余計な)仕事を2割カットする」といった言及内容は矢面に立っておらず,あくまでも「報酬を2割減らした」という結果が主眼と位置付けられています.

…対価が2割減ったら,相対的に仕事が25%増えたのと同じ事ではないでしょうか??
あるいは先の例で言えば,4個600円のリンゴを2割値切れば,同じ600円でリンゴが5個買える計算になります.

 

これは大変イヤな予感がします.

当サイトでは,折に触れて「エージェンシー・スラック」「共有地の悲劇」「公正妥当な対価とは如何」といった,先人の知見により相応に確立されてきている概念をも参照しながら,斯様に「社会の形のあり方」について考えてきたつもりなのですが,こと代議士システム(間接民主制,公職選挙)に至って,「面と向かって値切れない相手にでさえも,『紙に名前を書く』(投票)だけなら特段の逡巡も無く出来てしまう」という事情が見えてしまったゆえ(上述エピソード),今更ながら空恐ろしさを感じ,頭を抱えるのみであります.

かかる事情は恐らく,俗に昔から「政治家の能力平均が有権者の能力平均を超える事はない」などと称される構造では済まないのではないか,と思われる由です:どちらかと言うと,アイヒマン実験の類の現象なのか,もしくはNIMBYみたいな括りでしょうか.
いずれにしても,「殆ど何ら『分かってない』立場から,公職選挙権を行使して代議士なり公務員をこき使う」との構図に一部なりとも該当しうる限りは,当サイトの問題意識の一つとして頭書から掲げてきている「正当な対価」の問題の,悪い意味での典型例に違いないと見えます.

 

もっとも,これは必ずしも有権者側が一方的に悪いという問題には恐らくとどまらず,代議士を志す立場もたいがいであろうと思われます.

今回都議選でも安泰の如く当選された,おときた駿氏(北区選出)の「選挙アドレナリン」という言い表しようが,まさにそれを端的に分かりやすく物語っています:即ち「政治家は選挙が本番」感覚認識,という.
もはや何が悪いではなく,構造上の限界的問題ではないかという気もしますけれども.

なぜ選挙期間中は、12時間もほぼ休みなく動き回れたのだろうか…【ほぼ雑談】
http://otokitashun.com/blog/daily/15584/

 

近日も「ベビーカー or 公用車」といったフレーズで論議が一部方面ながら大分盛り上がっていた模様ですが(論議喚起は原則諸手賛成です:筆者方針),かく言う私自身は,電車で優先席に座って周囲の状況を確認してから通信機器の使用如何を判断決定する程度には,社会コスト分配を受ける立場でもあります.「音が聞こえ過ぎると意識安定性が揺らいで削られていくので,耳栓を装備した上で読字に集中してしのぐ」「股関節周囲の筋肉系があまり強くない(内臓手術の後遺影響もあると思われる)為,長時間立位は自律意識に影響する神経系統へも負荷が大きい」あたりが主な事情ですが,シルバーリボンが知られている確率はヘルプマークよりなお低い模様です…;急性症状の致命リスク等が相対的に低い事には違いないかもしれませんが,別段無い訳でもなく.

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