えーと,おおよそ2~3年位前から当サイトの記事をお読みになっている方には御承知かと存じますが,筆者は現在,線維筋痛症(せんいきんつうしょう)という持病を抱えています.詳細はWikipediaの日本語版が既にだいぶ詳しいのでそちらを概観されれば一旦はよいとして,生涯有病率約2%,性差5~8:1で女性に多い(医学的にも性別が無い筆者のカウントはどうするのか??苦笑),とそれなりに「そこそこある」疾患なのですが,日本での受診診断数は異常に低く未だ数万人レベルで,毎年蓄積で統計数が増えていったとしてもまだ桁が足りないという認知状況でありまして,この状況はやはり何とかしたいと思うところな訳です.
そして,かく言う筆者はこの度,そのWikipedia項目でも挙げられている日本の線維筋痛症の権威のところへ転院となりまして,初回診断が「やはり線維筋痛症には間違いないだろう(全項目適合)」と,鎮痛すると怠さが出る事から対策として「甚大量(4500mg以上/日)のビタミンCを摂取してみて下さい」という話になった次第で.
ところが,一方で生殖腺を全摘している筆者は,更年期障害が怖いので低用量ピルを常時服用しておりまして(その意味では特定の性別方向へ「寄せている」とは言えるかもしれません;閑話休題),そこで検索で出てくる「ピルと大量のビタミンCの同時服用は危ない」という話(これについては以前から情報見知っていました)が気になりまして,そこを調べ直してみたところ,
20年以上前に本邦でも否定されているとんでもないガセネタが現代に至るまで罷り通っている
という事が判明した訳であります.そんなガセ香具師こそとっとと回線吊ってイッテヨシ(古
根拠文書はこれです:厚生労働省「経口避妊薬(OC)の安全性についてのとりまとめ」
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1106/h0602-3_b_15.html
>OCとビタミンC(VC)との相互作用については、Backら1)が5例のデータで相互作用があると報告しているが、その後確認のため37例を用いて検討された結果、VCの併用でエチニルエストラジオール、プロゲストーゲン(レボノルゲストレル)の血中濃度の上昇は認められず2,3)、外国添付文書の相互作用のある薬剤にも記載されていない。
上記サイトをスマートデバイスから見ようとすると,何故か文字化けして全く読めないのですが(昔のHTMLサイトにありがちな気も…),厚生労働省におかれましては,20年以上前のプレスリリースでも重要記事は読めるように,メンテナンスをきっちり行って頂きたいものであります.
そして,ページを戻り辿っていくと分かる通り(https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1106/h0602-3_15.html),この資料が公開されたのは前世紀,1999年6月の事です.ヱヴァンゲリヲンが未だエヴァンゲリオンだった頃の話です.
と こ ろ が,
今あらためて各検索エンジンでサーチしてみると,今世紀に入ってどころかほんの過去数年,2017年~2021年(今年)あたりに最終更新されているサイトでさえも,平然と「低用量ピルと多量のビタミンCを同時摂取すると,高用量ピルを服用したのと同じ状態になって副作用が強まる」などといったテキトウなク●俗説がのうのうと罷り通っておりまして,これはもう当サイトの検索ランキング上位狙いを以って全力で刺しにいくしか無いであろうと,義侠心に駆られて記事を書いております.一瞬「殺意」って言いそうになったのはここだけの話だク●が(自重しる我
という訳で,晴れて「低用量ピル服用とビタミンCの大量投与療法は両立可能」という話が,ガリゴリ調べてようやく落着したのでした.筆者が「外科的一発更年期」状態になって服用を始めたのがもう10年近く前ですから,その間丸々これらの「俗説」に,しかもそれらが積み重なってゴミがゴミを生んでいる状況に,騙されていた訳です.絶許拡散.
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そして,今回記事のもう1つのトピックはこちらです:
ある日突然、慢性疲労症候群になりました。: この病気、全然「疲労」なんかじゃなかった…
2019/4/8
倉恒 弘彦 (監修), ゆらり (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4772613803
Kindle版にもなっていて手に入りやすい本著は,内容が片っ端から見ていて大変痛々しく,ページをめくる度にその描写のエグさに吐きそうになりながら,しかし重要内容が実体験に基づいて多く盛り込まれているので,関連分野疾患を抱える身としては必死になって読む訳です.
そして,同書中のコラム的な1ページに,「線維筋痛症」についての言及が参考情報として書かれています:ここを見ると,あれほどエグい著者御本人の慢性疲労症候群よりも更に酷い疾患であるかのように概説されており(尤も日本語版Wikipediaの記述も似たようなものですが…),治療薬の効能で一応動けている筆者の立場からすると,何だか申し訳ないような,さても重要参考情報には違いないし,また「併発」する事例もあるようなので(例えばAmazonの著書レビュー参照),中々無視出来ない内容でして,当方は毎頁襲ってくる吐き気をこらえつつ,一挙に読み通してしまいました.
その一旦の結論としては,やはり慢性疲労症候群は「筋痛性脳脊髄炎」といういかにもヤバそうな名前の方を普及使用していくべきである,という事と,あとはやはり,著者ゆらり様御本人の「その後」に関しての心配が尽きません.恐らく相当の期間を有したであろう漫画を描き貯められたものが,成書の形で約2年前に公刊された後,著者様の動向は現状オンラインでは不明です.プロフィール欄に記載されていたTwitterアカウントは現在無くなっていますし,調べると容易に出てくるnoteやPixivのページも,2年前から「その後」の動向が見えない状態です.
恐らく,疾病の性質からしても決して改善しているとは言えない状況なのでしょうが,それにしても,慢性疲労症候群いえ筋痛性脳脊髄症という「ややもすると命にかかわる」と見える疾病と,線維筋痛症のように「それ単体ではまず死なない」症例とでは,少なからず格差があるかのように感じられました.
今回,此の拙文が一人でも多くの当事者・関係者の方の目に留まり,そして,事態の打開へ向けた取り組みに繋げて頂く事が出来ればと思い,推敲もロクにままならない書面へぶちまけさせて頂きました.
なお,当方の線維筋痛症の「痛み」そのものに対する適応薬は,処方量が漸増しております.しかし「痛み」は客観化が難しいので(現院にはそういう装置も有るには有るのですが,現院が「権威」=本邦の線維筋痛症治療におけるほぼ最高峰,という事情もあって,全国区への普及は未だ全然浸透していません),身体障害者手帳の交付対象にはなりづらく,その意味では線維筋痛症患者は「割を食っている」向きは否めないかとも存じます(この「特殊な鎮痛剤=いわゆる通常のロキソニンのような痛み止めでは全く効かない類の脳神経脊髄由来の疼痛を抑制する薬」が,またなかなかの薬価だったりもしまして).
その意味では,筆者が当サイトで病名を公開した当初に述べていた「今後の当方の活動は当面制限されたものになるであろう」との旨は,一面では現在も未だその途上なのですが,どうせ身体障害者手帳が交付されるにしても初診から半年以上先の事になる訳ですので(経過変動しうる疾患なので),そんなに長い間この疾病を抱えたまま過ごしたくもないなあ,と思いつつ,こうして記事を書くなど出来る程度には鎮痛が効いております.
ここ数年もまた個人的に諸々ありましたが,歩けるっていいよね,見えるっていいよね,位の感じでしょうか.以上,まとまりなく近況雑感までに.