センター試験「目標得点帯別」今から出来る対策リスト

今年度も河合センタープレが終わり,大学入試センター試験本番まで残すところわずかな機会となってまいりました.
という訳で,センター試験本番目標得点ライン別に,今から出来る「対策」を概観してみたいと思います.

●セ試「7割」に届かなくて困っている人
基礎学習に不十分な点はないか,今一度確認して下さい.これまで使ってきた教材の中で,(センター試験自体はマーク式であるにもかかわらず,敢えて記述で)「自力で書き出す」事が出来る内容がどれだけあるか:これが1つの目安となります.この水準に達している分野の「合計割合」が,おおよそセンター試験本番での得点の期待値となります.負荷は大きいかと思いますが,目標に向けて出来る事を丁寧に積み上げていきましょう.

●セ試「8割」に届かなくて困っている人
もしかすると,ここに該当する人が当サイトのボリュームゾーンであるかもしれません.センター試験で「8割」を狙い得る人というのは,一応の基礎学習は足りているはずですので,これまで学習してきた(はずの)内容を如何に「取りこぼしなく」得点に変える事が出来るか,が勝負ラインになります.必要に応じて問題演習(復習込み)を徹底し,得点期待値の万全性確保を図りましょう.
また,センター8割というのは「国公立大学では相応の水準だが,私大セ試型方式ではコストパフォーマンスが悪い」水準の典型です.併願私立大学の入試日程が2月の学習時間を食う事も念頭に置きつつ,第1志望をにらんだ学習につとめて下さい.

●セ試「9割」に届かなくて困っている人
このラインを目標とする必要がある受験生は,医学部・獣医学部等でセンター試験の配点比率が高い場合か,もしくはセンター方式で難関私立大学を狙う人に限られると思われます.逆の例として例えば東京大学などでは,2次試験の配点が高いために,センター試験で高得点を取っても決して「安泰」とはいきませんし,またあるいはセ試で多少失敗しても「足切り」を受ける恐れは低く,おおよそ得点率85%程度あれば出願は十分可能です(実際,筆者の教え子でも,この水準から言わば「逆転合格」を果たした例は複数存在します).
従いまして,センター試験で本当に「9割」を目指す必要がある人というのは,相当な緊張感をもって試験全般に臨む事になるかと思います.ミスが許されない以上,「確実性を上げるための学習」に12月以降学習時間の“9割”を投入する事になるでしょう.また,万一センターで「失敗」した際の対応(受験予定校変更等)についても,冷静に計画しておきましょう.敢えてコーチング的文脈で言うなら,「ハイエフィカシー」と「無鉄砲」は異なります.試験の性質が分かっている訳ですから,真っ向から対策としての「用意周到」な計画を立てて臨みましょう.

Share

社会構造とコーポレートコーチング

以前記事「『ガリ勉』は相応の社会的地位と責任立場を獲得すべし」(http://wp.me/p6S43T-aE)の中で,「パートタイマー」という語義の文脈が今一つ不明である,とのお問い合わせを頂戴しましたので,念のため解説を加筆します.

まず結論から言うと,「パートタイマー」という括り自体に特段の意味はありません.ただ,件の会話をしていた彼等に共通する分類が「パートタイマー」であった旨と,それ以外に共通する括りが見出せなかった旨とが単に合一した結果です.

但し,当サイト読者には薄々お察し頂いていると思われる通り,斯様な状況が結果的に「社会的階層の固定化・対立化」を招く可能性はあります.この点について,以下でもう少し詳述しておきましょう.

先ず,筆者である私は決して,「高学歴(※)集団 vs. パートタイマー集団」のような構図が出現する事を望んでいません.しかし実態としては,先の記事で挙げた例はまさに「対立構造」そのものであり,筆者が最も懸念するところの対象現物であります.(※:本来は「学校歴」と称すべきである誤用の典型ですが,広く使われ通用している現状を鑑みて原典のままとしました)

筆者はかつて,当サイトを立ち上げた際に「ロールモデルをつくりたい」と弁明しました.しかしこれは決して,かかるロールモデルが「対立的構造」を生むべきものではありません.これはむしろ,社会構成において「分業化」の認識を持って各役割(role)が果たされるべきものであり,それはまさに「コーポレートコーチング」の射程範疇であります.あるいは,“セルフコーチング”の方法論として喧伝されてきた面の大きいTPIEなどに関しても,実際には「コーポレート」への導入実績が大きい事が知られています.

「社会に果たす役割」とは「職業」の定義ですが,高学歴集団も「プロアスリートの類似」としての職業認識をもって,本業に集中出来る事が望ましいと言えましょう.

Share

「大学入学共通テスト」試行テストの箇条書きレビュー

少し遅くなりましたが,「大学入学共通テスト」(今年度まで行われる「大学入試センター試験」の後継)の試行について,特に記述問題が追加された分野を中心に箇条書きレビューをしてみたいと思います.
https://www.dnc.ac.jp/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/index.html

国語(現代文)
●論述形式の出題は「東大入試を水で薄めたような感じ」
∴東京大学受験生は有利になる
⇒報道にもある通り「二極化」は有り得るだろう
●また「TOEICの日本語版」のような印象もあり

数学
●日常生活に密着した「経験論から一般則を導く」誘導は,
私の言葉で言えば「数学語が身になっているか」が問われている
●命題が偽である事の照明に「反例」を使う構想は,例えば東京大学の斎藤毅教授の論にも合致している
●誘導形式の出題が強烈なのは現行のセンター試験と一緒

不慣れな受験生は時間を浪費しがちなので,「出題形式に慣れる事が重要となる」のも現行のセンター試験と同様

全体として,国立大学受験生にとっては有利化の面が大きいと思われる
⇒旧「国立大学共通一次試験」の復活か??

現代(そして将来)において,「高等学校で何を学ぶべきか」について模索が続けられているようには見える

Share

「受験勉強ゲーム」を素人が楽しめるように出来るか

先のYuta Kawasaki氏よりもう一題“宿題”を頂戴したので,御回答までに.

結論から言うと,現在私が持っている解答の限りでは,やはり先述した「ガリ勉の地位を(再)向上させる」くらいしかないかと思います.

もっとも,私自身が今やっている事は,どちらかというと「ひとまず『プロ受験生』を育て上げて,実力に応じた“リーグ”の中で楽しんで活躍してもらう」に近いのですが,これを更に「アマチュアにも親しんでもらう」まで拡張すれば,一応所期の目的は(形式的には)達成されます.

とは言いつつも,私が必ずしもこのルートを推奨出来るかと言えば,そこは誠に微妙です.

というのも,この筋は今まさにeスポーツが辿ろうとしている道を「逆行する」形だからです(なお,この方面に関しては,黒川文雄さんやその周辺の方々が詳しいでしょう):即ち,「過去には価値があったが今では薄れかけているものを再興する」という構図ですから,果たしてどれだけ意味があるのかは,慎重に問うた方が良い.

その点では,まさにYuta Kawasaki氏が指摘されたように「早くアメリカ型に移行」した方が良いのかもしれませんが,私の認識では今一つソフトランディング出来る道筋が見いだせません…日本の大学が沈没してしまう前に,妙案が見つかる事を願うばかりであります.

Share

受験勉強は果たしてどこまで必要か

「受験勉強ってそこまで必要ですか?」というお題を頂戴したので(thanks to Yuta Kawasaki),私なりの回答を試みてみようと思います.

端的な結論としては:苫米地英人氏のいずれかの成書で節題となっていた「理学のアメリカと工学の日本」という括りに含意が込められています.

これを換言すれば,受験勉強は「従来の日本型を突き詰めるのであればなお必要,アメリカ型で尖端を目指すのであれば改変を要する」という事になります.

日本型の受験勉強は,言わば「やり込みゲーム」の様相を呈しています.これを小平邦彦先生以来の亡霊と見るか,あるいは河東泰之先生が何と仰るか気になるところではありますが,いずれにしても,現代の受験勉強に織り込まれている「やり込みゲー」要素の源流がこのあたりにある,という事は言えそうです.

いや,「日本の東大京大は『十年に一人の天才を発掘出来ればそれでよし』なのであって,小平邦彦も河東泰之も斯様な人材だ」と言われる向きもあるかもしれませんが,私はそうは思いません.「演習の果てに成果がある」とは,まさに河東先生も仰っている通りです.

そこへきて,高等文官試験以来の流れを汲む東大入試~国家公務員試験制度を概観して言われる「進振り(進学振り分け)悪論」が比肩されるのかもしれませんが,かく言う私自身も進振りを「上手く使って」現在に至っています.いや,「私自身が二流官僚(の亜種)の典型である」とまで言われればそれまでかもしれませんが,そこまで言う人はもはや私に用は無いでしょう.

幾分駆け足の小論になりましたが,ひとまずの御回答までに.

Share

不動産方面の最近の仕事

拙宅を含む一連のマンション群(団地)が大分老朽化してきたので,警鐘を鳴らすべく資料を各戸配布させて頂きました.内容はおおよそ既知のものですが,触れていない人には遠い話ではないかと危惧された為,今回自腹を切って決行に踏み切りました.

「2億円規模の仕事」をしてからもう5年近くになります.宅地建物取引士の免許も更新期日が近付いてまいりました.マンションの大規模修繕や建て替えは,困難を極める一大プロジェクトですが,出来る限り実現に向けて資するよう,心から願っております.

資料では著名例として多摩ニュータウンの例を引き合いに出させて頂きましたが,実は拙マンションも「容積率の完全使用+行政当局による容積率緩和」の目処が立つ案件であります.その結果は奇遇にも,多摩ニュータウンの先例と非常に類似する結果となる事も,また計算上判明しています.

ですから,実は先ず当局に話をもっていく事が非常に肝要となるのですが,そこまで理解している人は恐らくなかなか居ないのではないかと思われまして,今回の自腹各戸配付と相成りました.少しでも当マンションの将来展望の助けになれれば幸いです.

Share