「関西医科大学でも白チャートで受かる」は本当か

同業者の与那嶺隆之さんが「関西医科大学でも白チャートを完璧にする事が大切」的な旨を書かれていたので,注意点を指摘してみたいと思います.

先ず根本的な事として,「私立医科大学(特に数学)は出題傾向がかなり偏っている」という事情を指摘しておきます.理由は単純で,出題陣の人数が少ないからです.

その上で,「関医でも白チャで受かる」の効用と限界について論じてみます.

先ず,「白チャート」を一つの目標として据えて述べた記事は,ある程度はイイところを突いています.というのも,白チャートであれば初学者でも入りやすく,挫折しにくいという事は言えるからです.

他方で,白チャートには「限界」もあります:それは,この教材がそもそも「センター試験」を最終目標として編纂されたものである,という点です.

従って,もし上述の「偏った出題」がセンター試験の傾向に合致ないし類似していれば高得点を取る事も出来る可能性はありますが,そうでなければ多くの場合に「不足」が生じます.

また,ここで注目しておきたいのが,記事の後半でさらっと「元気数学」に触れられている点です.「元気数学」とは,馬場敬之・高杉豊著「元気が出る数学」シリーズの事で,同著者の「初めから始める数学」シリーズの次のステップとして位置付けられている教材です.

数学の基礎学習において,白チャートの他に更に「元気数学」を加えるというのなら,上述の議論とは話が違ってきます:特に得点力の「精密度」がおそらく大幅に変わるでしょう.

私の指導なら,基本的にはもう少し上のレベル(有名教材で例示すれば黄チャートくらい)を推奨しますが,こと医学部入試は「精密さ」もが要求されるので,その意味では与那嶺さんの御意見は悪くない選択判断なのかもしれません.

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