登記の「権利」の一部を「義務化」される法案が遂に出ました

実は当サイト主宰の専門の一つだったりするのです.当初は先年法改正国会可決の見通しだったところがようやく,という感じです:

土地登記は相続3年内に、違反なら過料 法制審答申
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE101SW0Q1A210C2000000/

 

筆者は「未登記建物の相続登記」案件や「相続登記未了物件の代位登記」,「不正解散会社の清算結了取消登記」といった経験をこれまで有してきました.更には,以前にも述べていましたが「未登記建物25件以上を発見,指摘して登記遵法化」させる,といった事も成し得ています.

一般に,上記のような登記においては非常に手間は掛かるのですが,登記に必要な書類等を集めていく段階で入手出来る情報には興味深い内容も多く,例えば債権者代位権を用いて登記を行う際は,当該債権に対する債務者に関する情報が相当得られます(原理的には「本人として入手」が可能な為).

また,相続登記未了が複数代にわたる場合などにおいては,戸籍謄本から「先祖」の情報が見える訳で,戦前の戸籍ともなると同家(分家していない)の子夫婦や更には「妾」などまで収載されていて,非常に趣深いものがあります.
あるいは,関係者の一として「遺産分割協議書」を作成させた際などは,当事者が相次相続(「次回」の相続)の可能性を考えて,税制改正の方向性を読んで損得勘定を考える場面に立ち会ったりと,ドメスティックながら(orゆえに)難しい話の現場に居て半ば巻き込まれる形になったりと,「FP」としてはちょっと通常ではないレベルの経験も多くしてきました.

更には,隣地調査の過程で「他家の未登記案件」を発見して「この情報は誰でも見られるものです.『権利』なので違法ではないが,今後相続や売買等の事情が発生した際に面倒が増えるので今の内に対処される事が望ましい」とお伝えするに至り,その後に当事者が当該登記を済ませられた後に本人が亡くなり,「あの時登記しておいて良かった」と感謝頂いた事もあります.
尤も,それよりも「マズい案件」を発掘してしまって,立ち止まったまま当方の手元に「紙の時代からの登記簿謄本」が山積されてどうしようも無くなっている,といった事案も少なくないのですが,それでもこの誰でも出来る「登記調査」は楽しい事満載です.課金額が月額7万円に及んだ時などはもはや廃ゲーマーの様相を呈しており,我ながらどうしようかと思いました.

現在は探偵業の届出を出していないので,「他人の求めに応じて」登記調査をする事は法的に問題があるのですが,当方自ら勝手に調査して「発掘」して,当事者に(時には政治交渉的圧に使ったりもしつつ)お伝えしたりするだけでも,「あぁ”趣味”が世の中の公的な場面で役に立っているものだなぁ」などと居丈高にさえ感じられたりします.

新たに課金ゲーを探している皆様,法務調査はオススメですよ.

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