東京大学個別学力試験(2次試験)追試験の入試問題が未だ手元に無くて涙目なブリザムです.皆様いかがお過ごしでしょうか.…そういえば,今日は帝国大学の創立記念日ですね.日本武道館での入学式が懐かしいです.
新入学期早々学校のカリキュラムの激しさに対する悲鳴が早くも一部ではかすれがちにさえなってきたかのように聞こえてきますが,ここを切り抜けると後は比較的スピードのついた持久走コースなので,先ずは最初の学期・最初の定期試験に「死なない程度に」臨めるようにしていく事が肝要です.
●高校生の場合(今年度から高校課程が始まる中学3年次以下の生徒も御参考に)
英語/数学のいずれかを強化しておくと大学入試では格段に有利です.東大入試でさえもそういう実状ですから,特に上位進学校では現実的な進路の選択肢の幅を広く取る為にも,「全国レベルでの武器科目」を作るいい機会だと思って,学校のカリキュラムを上手く活用して軌道に乗る事は良い選択だと思われます.
他方で これだと校内(同学年内)での優位性を持つ事は恐らく困難でしょう.その意味で,モチベーションに繋がる「武器」をどこまで手にする事が出来るのか,なかなか難しいところもあるかと存じます.
筆者は,某進学校で学年順位300番台から逆転で東大に現役合格させた実績を持っていますが,これとてあくまでも受験生本人が相当量の学習をこなし続ける事が出来たゆえの話であって,「休日は毎日15時間」の受験勉強が出来ない人には何らの処方箋が与えられていないという反省でもあります.
また,学校側が「意欲的な」生徒諸君のために,年間カリキュラム概要を年度始めに提示してくれている場合も少なくありません.これがあれば,学校の進度と自分の学習計画を整合させる事が出来るので,かなり心強いと言えます.もし提供されなくても,各科目担当教諭に「それに近いだけの情報」を出してもらうようお願いするのが良いでしょう.大体の場合,学校では「年間授業計画」が1コマ単位で決まっているものなので,これを提示してもらう事は本来的にはさほど難しくないのではないかと思います.
「本業受験生」を旨として月単位,年単位で学修に集中して頂きたいところです.
他方で,特に高校新入組の場合,中学までの課程と比べて「5教科(国数英理社)が各々倍増する」事も往々にして珍しくない訳ですから(例えば,数学が数学I+数学Aのように),定期テスト対策だけでも2週間前から始めていてもキツい事も珍しくありません(筆者は高2次に,試験期間開始2週間以上前から各科目の試験範囲復習を進めていましたが,世界史と日本史が被った日には前日の試験後即帰って始めた自習が10時間以上に及んで日付線を超えました…).
それでも,斯様に「中学までと比べてはるかに速くて濃い重いカリキュラム」に対して,悲鳴を上げつつ学習を進める最中であってさえも,高校入試レベルに不安が無いか,今のうちに確認しておきましょう.かく言う筆者は,この段階での「並行学習」の厳しさによって(?)高1入学最初の1学期で4kg痩せました.
なお,現状確認の際には,難関国立・私立高校入試問題>公立高校入試問題>公立高校入試対策用問題集>…の順にチェックしてみると,特に上位校合格入学者は学力が見えやすくて宜しいのではないかと思われます.
この段階で「穴」が見つかった場合は即中学内容復習ですが(教材は高校入試用問題集か,更に足りなければ中学定期試験対策向け教材で良いでしょう),もし特段学力に穴が無い場合でも,高校の要求水準との間にはギャップが有るかもしれません.
その場合,当該科目の担当の先生に「このカリキュラムが難しいので補充教材を追加したいので教えて下さい」と訊くなどして,自習主体でこの「ギャップ」を埋める学習機会を取るべきです.
筆者はこの「自習主体で学校のカリキュラムに追い付く」という発想に辿り着くまでに高校入学後半年掛かりましたが,当記事を読んで下さっている皆様におかれましては,「今から」着手される事を強く推奨申します.経験則によると,例えば数学の場合なら約1年半あれば高校課程全範囲の学修を終える事が可能です.ここまでくれば,学年トップとまではいかなくとも,相当な「全国レベルの武器」の準備は出来ていると思っても良いでしょう(実際に全国レベルを目指す為には,後に「演習」を追加していく事になります).
●中学生の場合
中高一貫等の難関校の場合,入学最初の学期からユルい中学課程をすっ飛ばして終わらせたり,高度な教材を与えられて膨大な学習量を要求される場合も少なくないでしょう.もしここで自力でついていく事が困難な場合には,その学校専門塾(有る所には有るものです)か「使える」塾(指導者の学力的な意味で)か,あるいは家庭教師(or完全1対1個別指導)に頼むのが無難でしょう.
特に難関中学の場合,2年次から高校課程に入ってしまう事も珍しくありません.その為,中学課程の内容で置いて行かれないよう,ここは踏ん張る必要があります.中学受験勉強に比べれば中学校のカリキュラム自体はそこまで難しくないので,この段階で高校学習への地盤固めに「パーフェクト」を求めましょう(高校生向けで上述).
他方で,中高一貫校や中等教育学校を除く公立中学校は「高校入試」が控えています.こちらは「内申点」というク●ゲーが立ちはだかります(苦笑).先ずこれがイヤな人は,実質入試一発で決まる国立・難関私立高校という選択肢が採れる環境ならば,その方針もアリだと考えます.
しかしながら,地方で名門公立高校が上位を占めているような環境ですと,もうこのク●ゲーに乗るしか選択肢が無いというのも実情です.その場合にはやむなく「内申点を取りにいく勉強」を進める事になりますが,ここで「関心・意欲・態度」やノート点などで姑息に点取りゲームだけに邁進するのは愚策です.あくまでも,定期テストの素点で上位を獲りにいく事が,「その後」(高校進学後の大学受験勉強)の為にも妥当でしょう.地元の塾などで.通っている中学の定期テスト過去問が蓄積されている環境がもし有れば,それに乗るのは有益な算段です.いずれにしろ,中学の授業カリキュラム自体は難しさと言ってもたかが知れているので,日頃から学習に打ち込んでも部活や趣味等に掛ける時間を取る事は充分可能なはずです.
また,小学校レベルの基礎学力が足りていない(「満点」でない)人は,正直に現状を真正面から見据えて,復習を並行学習として一刻も早く完了しましょう.高校に進学しない人は別としても,中学校の標準的なカリキュラムにマトモについていく為には,最低限「小学レベルが完璧」に出来ている事は不可欠です.自分に正直になって,必要な学習に取り組んで下さい.
●ちなみに大学生の場合は?
大学は「そういうところ」です:先ず此の点について納得して下さい.デジタル化の次には「(カリキュラム―特に難易度の)標準化」の波が来るかもしれませんが,皆さんが大学に居る内には流石に未だ来ないだろうと思います.どうせ悲鳴を上げている層の多くは大学初年級課程の人でしょうから,高校の伝手や名門進学校出身(同大学在籍者が多い)の知人の伝手で先輩を頼って,話を聞くなりしましょう.
なお,大学の場合は学年が進むにつれてカリキュラムがそもそも専門化して「標準もなにも…」という感じになってくる,という側面もありますので,上ではひとまず主に初年級対策の話だけしました.