#東大 ・ #京大 #合格者数 ランキング概観: #桜蔭 が #理三 制覇確定的

という訳で,本稿執筆時点でインターエデュでは未だ筑駒の数字が出てきていないのですが,暫定東大合格者数ランキングが上位層はおおよそ固まってまいりました:

東京大学
https://www.inter-edu.com/univ/2022/jisseki/todai/ranking/

 

…と,そこへきてTwitter上で「筑駒の東大合格者数速報」とやらが昨夜入ってきました:

https://twitter.com/jyusouken_jp/status/1504821745835909125?s=20&t=8k6co2cMl-KfZuNqpMSyBw

>【速報】筑波大附属駒場高校、東京大学96名合格

https://twitter.com/jyusouken_jp/status/1504822954059714560?s=20&t=8k6co2cMl-KfZuNqpMSyBw

>理一 54名
>理二 9名
>理三 6名
>文一 12名
>文二 10名
>文三 2名

 

この情報が正しければ,東大合格者数ランキングでは筑駒が2位となり,灘以下が順次繰り下がる事になります.本記事ではこれを基に,先ずは東大ランキングを見ていく事にしましょう.

 

開成は気がつけばもう40年以上トップに君臨し続けているとの事で,「灘・開成時代」すらもはや歴史上の話になったのだなぁ…としみじみ思いました.筆者の年齢は非公開ですが,なんか歴史感覚が物理年齢とズレている疑惑です(苦笑).

その開成は昨年から大きく数字を伸ばし,190人の大台に復帰しました.浪人生の人数を考えると,これは「隔年現象」の一端なのではないかと考えられます.各科類に満遍無く合格者を出しているのも流石の王者です.理三がそこまで炸裂しないのは,開成的にはむしろ仕様です(内情については福井一成先輩の著書を参照).

 

筑駒の96人は学年人数(160人,内訳は中高一貫120人+高校入学組40人)を考えれば流石と言えます.上記Twitter情報を見ると,理一が人気過ぎるのが驚くところです:計算機科学方面に行きたい人が増えていたりするのでしょうか(以前指導していた教え子がそのルートに進んでいました).理三は6名との事で,筑駒としては少ないとも言えませんがさほど多くはない印象です.

そして,タイトルの通り,この筑駒の数字を見て,桜蔭(総計合格者人数は推定6位)の「理三13人でトップ」がほぼ確定的になりました.他に勝負になりそうなのは灘の10人くらいしか無いので,今年度は「理三は桜蔭が制覇」という事になります.過去の履歴を全部確認してはいないのですが,毎年の理三の動向を見てきた記憶を辿ってみる限り,これはおそらく初の栄冠ではないかと存じます.…そして,理三の「女子は桜蔭orその他」傾向が超加速する,と(苦笑).

尤も,6位は比較的健闘しているとは言え,総計77人は桜蔭にとってはあまり大きくはない数字です.過去には90人台を出していた年も複数回あるので,何と申しますか,いささか「偏った」かのような印象さえ受けます.
なお,Twitter上でのハンドルネームベースの受験生同士の繋がりでは,桜蔭の理三現役合格者(結果論)の模試で全国1位を獲った人を始めとして,局所的”著名人”が連なっています.こういう人達が,入学後に「Twitter同窓会」を始めるのだと思うと,時代を感じます(筆者の時代はインターネットこそ有りましたが,こんな簡易なソーシャルネットワーキングシステムは整備されていなかったので,「模試同窓会」か「四谷大塚同窓会」くらいのものでした.…四谷大塚って年代がバレるな/苦笑).この「クラスタ」が大学入学後は往々にして「Facebookクラスタ」へと移行…と言うより「接続」していって,そして卒業後(大学院進学も含めて)に至ってなお「学閥ネットワーク」を形成し続ける,というのが現代の構図と見て取れます.

総計3位(推定)の灘は,理三10名はまぁまぁな数字かなと見えます.京大医学部は20人,阪大医学部は9人との事ですが,防衛医大に19人合格しているので,やはり灘の「医学部志向」は健在と言えましょう.また,筑駒と同様に「理一が多い」という傾向も目につくので,やはり東大受験生の上位層は「何がしか考えている」のではないかと見受けられます.

そして,聖光学院が神奈川県の断トツトップで91名の合格者を出し,推定4位にまで登り詰めるに至りました.これは「一強」の構図と見て取れますが,理三合格者は居ない模様で,そのあたり「内訳」を精査していくとどんな具合になっているのか(例えば,合格者の成績状況など:ちなみにこれに関しては,入学後しばらくしてから「開示祭り」が発動します)が気になるところです.

5位には西大和学園が登り詰めました.西大和といえば従前は「京大の王者」だったのですが,近年はどうも「東大志向」が強まってきていると見えて,傾向だけで言うなら灘に似た印象となっています.

7位の渋幕も「強くなったものだなぁ」感があります.既に何年も前から鉄緑会の指定校に名を連ねていましたが,その昔初めて千葉県内で「県立千葉を抜いてトップに立った」年の事を思うと,非常な成長を遂げたものだとつくづく感じられます.

そして,8位には公立の都立日比谷高校が残りました.2年連続での十傑入りで,「復活の日比谷」はもう公立トップとして不動の地位が見えているようにさえ思われます.

9位の麻布は何とか十傑に残りましたが,人数規模的にも大分縮小しています.昨年の総合格者数が90人近かった事を考えると,隔年現象があったりするのでしょうか.…しかしながら,麻布の今年の合格者には浪人生が多い事を考えると,いささか雲行きが気になるところではあります.

栄光学園の「追い出され十傑落ち」は,もはや定番となっています.しかし,理三に現役で3人送り込んでいるあたりを見るに,底力と言うか「地頭の良さ」(成書「イモニイ」で有名)を感じさせます.この矜持を以て,神奈川県勢として「聖光とわたり合う」ような話になるのでしょうか.
ちなみに,栄光の全体としての東大現役合格率はさほど高くないのですが,筆者の同期で栄光出身者(一浪)曰く「うちは受験受験してないから」だそうで,この言を通して見ると,栄光の大学受験感覚が浮かび上がってくるような気もします.

 

11位以下も結構な人数の合格者を輩出している高校名が並び,「東大合格者の出身高校の分散化」とも取れる様子となっています.
神奈川県立横浜翠嵐は昨年よりも更に数字を伸ばし,今年は理三合格者も輩出しましたが,未だ十傑には届きませんでした.
ラ・サールは従前からかなり総計人数を減らしてきていますが,その中でも理三3名というのはやはり「東大志向と医学部志向が混在している」校風の一端が見えているかのようです.
東京学芸大附(推定20位タイ)は総計27人と,往時の栄冠はどこへやら…という所まで下げています.「日比谷蹴り学附」から「学附蹴り日比谷」に風向きが変わったとの談を聞いてから既に久しいですが,全盛期には111名で2位(開成に次ぐ)まで登り詰めていた事を思い起こすと,栄枯盛衰というものを感じさせられるところでしょうか.

 

一方の京大ランキングは,大阪府立北野が「復活の狼煙」を上げ続けている構図となっています:

京都大学
https://www.inter-edu.com/univ/2022/jisseki/todai/ranking/

一時は京都府立堀川に後れをとっていた事もある由を考えれば,まさに「北野の底力が帰ってきた」感があります.

2位の洛南は,総計人数こそ北野に幾分差をつけられていますが,医学部13人と気炎を上げています.「共学で理三・京医に行ける」との評(※今年は東大理三は出ていない模様ですが)が「その道」では効いているのではないかと思われます.

3位タイの清風南海は「かなりの快挙」と評して良いかと思われます.「合格者が工学部と農学部に集中している」というのは,京大合格者数ランキングにおけるステップアップの典型とも見えるでしょうが,健康科学で稼いでいる訳ではないあたり,相応の「実力」をつけてきたと読める向きもあるでしょう.高校内部での進路指導状況がどうなっているかも気になるところです.

そして,甲陽学院も3位タイに残りました.近年のランキングとしてはそれなりと言えましょう.京大合格者の内訳では工学部が多く,一見して「ちょっと地力が気になる」かもしれませんが,何だかんだ言って東大理三と京大医学部の両方に合格者を出している事と,更に他大学にも目を向ければ,実は神戸大学医学部に15人となかなかの人数を送り込んでいる事情が見えてきて,小規模校なりに頑張り続けている様子が感じ取れます.

灘は5位に入って「医学部(20人)とその他」傾向がハッキリしています.こちらも「往年の灘」感があります.

京都府立堀川は44人で6位に入りました.人数的には「まぁこんなもん」と申しますか,あの「堀川の奇跡」と呼ばれた初年度と同程度が例年続いている模様ですが,内訳を見て「工学部で稼いでいる」感が強い事と,現役合格率が低い点がいささか気に掛かるところではあります.

「東大にシフトした」と見える西大和は,京大ランキングでも7位に残っています.尤も内訳を見ると,もはや「京大ランキングトップ奪取の炸裂」を見せた往年の色は無く,やはり「もはや東で勝負する」意向が強く透けて見えます.

8位には愛知県立岡崎が入りました.岡崎高校と言えば,一時は「東大合格者数ランキングで公立トップ」の定番校として名が通っていましたが,東大ランキングで都立日比谷を筆頭に他の公立高校が高騰してきた現在にあって,京大ランキングで名声を守っているかのようです.

以下,9位三重県立四日市,10位静岡県立浜松北高校と公立高校が続きますが,人数の絶対規模を見るに,京大ランキングは東大以上に「ばらけている」様子が見て取れます.

 

京大ランキング十傑は以上の通りですが,11位以下を見ていくと,早々に都立西高校が現れています.西高校が何故か京大志向を強めているのは従前からの流れですが,一時は「東大ランキングで都立トップ」(と言っても2桁に乗るかどうかの数字内での勝負でしたが…)の地位を誇っていた事からすると,一見して不思議な感があります.一応,合格者数は東大の方が多いのですが,どことなくややもすると「都立日比谷との棲み分け」的な印象さえ否み難いような気もしてきます.

12位の埼玉県立浦和も京大が増えています.こちらは前年比倍増という結果に加えて,東大理三は輩出していないのに京大医学部には2名送り込んでいるなど,「一体今年何があった」感を否めないものがあります.

以下,往年の名門校の名前が連なっていますが,17位タイに開成(17人)が入っていて,この人数ですら「増えたものだなぁ」と感じられます.しかも,内訳が総合人間,理,医といった「比較的難しいとされている学部」へと逆に偏っている点についても,開成高校の内部で一体どんな流れが起こっているのか,いささか気になるところです.

 

以上,東大・京大合格者数ランキングを概観してみましたが,やはり流石に中長期的に見れば「変動」は明らかに起こっています.また,殊に東大ランキングでは競争が熾烈になっている様子も見て取れます.

 

最後に,「一部のトップ進学校で,海外の大学への進学に流れている傾向があるのではないか」という疑念が湧くかもしれませんが,海外大学合格者数ランキングを見ると,東大ランキングに名を連ねるような進学校で目につくのは,十数位台の海城と渋谷教育学園渋谷くらいです:

https://www.inter-edu.com/univ/2022/jisseki/kaigai/ranking

開成なども人数は発表されていますが,順位としてはずっと下になります.なお,灘は海外大学合格者数を公表していないのではないか,という点は一応気にしておくべきかもしれません.

 

少し遅くなりましたが,今年の東大・京大ランキングの当サイトにおける概観は以上とさせて頂きます.

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